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【ITニュース】日常の裏で進むインシュアテック、楽天の損保買収に見るITと保険の未来

楽天の保険ページ。生命保険のほか、様々な損保も。

InsurTech(インシュアテック)※に注目が集まる中、日本経済新聞が29日付の朝刊で、楽天が野村ホールディングス傘下の損害保険会社、朝日火災海上保険の買収を報じました。
400~500億円を投じ、今夏を目処に完全子会社化する予定です。
金融とITが融合したFinTech事業の動きが活発化する中、膨大な消費者データを抱え込むネット企業は、まさに金融業界の黒船とも言えるでしょう。
元々マネー事業に力を入れ、生損保部門を持つ楽天は、昨年7月にはInsurTechの研究に特化した楽天生命技術ラボを設立し、機械学習やディープラーニングをはじめとする生命保険分野への先端AI技術の応用を研究していました。
また保険申込プロセスの簡易化、AI技術による顧客開拓、高度な匿名化処理を施したデータ分析による、解約率・保険金・給付金などの中長期予測といった分野に注力していくとしています。
ここに既存の実績がある損保会社が加わることで、楽天が持つ9000万人超の顧客データは今後、既存の保険と一線を画する新しい保険商品の開発に大きな影響を与えることになります。
※Insurance(保険)+Technologyの造語。

日常の購買行動が無意識下で保険に影響をもたらす

Amazonのホーム画面。購買履歴や閲覧履歴、関心のある分野を記録し、商品を紹介してくる。

通販、デリバリー、その他多くの業態を抱える楽天グループには、顧客が意識せずにもたらす様々なライフログが蓄積されています
一例として楽天マーケットの通販を利用していると、家族の構成や生活スタイル、食生活やファッション、趣味、嗜好などのライフログが、過去の購買履歴として記録されていきます。
こういったデータをもとに楽天は、今までは把握が難しかった個人の日常により密着した生活情報に応じて、保険料や保障などをきめ細やかに設定し、対応することができるようになるとしています。
楽天に限らず、AmazonやYAHOO!ショッピングのような大規模ネットショップや、ネットスーパーなど、今の時代、オンラインの物流はライフラインとして欠かせない存在になりました。
結果として、消費者は無意識のうちに日常の購買行動を通して、生活情報を業者に蓄積しているわけです。
今まで消費の動向を分析して販売に生かされていた情報は、ITを通して他のサービスに活用され、生活全体を包む構造が形成されています。
今までの年令や性別、収入などの顧客属性よりもさらに細かな情報を元に、顧客の需要にきめ細やかに応じることができるIT企業が参入してくるわけです。
既存の金融機関が警戒を強めるのも当然の帰結でしょう。

FinTechに続々と乗り出すIT各社

資産運用サービスへの参入を発表したLINE、AIを活用して投資信託の発売を始めたYAHOO!と、既にIT企業が次々と金融に参入しています。
また、健康志向から近年ウェアラブルデバイスを装着する人が増え、心拍数や運動量、体重の推移などの日常のライフログの記録が一般化しています。これらのデータが生命保険の商品開発に活かされるビッグデータとなり得る可能性は、当然高いと言えます。
iOSのヘルスケアやGoogleHealthなど、スマートデバイスから取得されるデータはInsurTechの普及によってますます価値を帯びてきます。
洗濯や掃除を管理するスマートホームや、AIを搭載したスマートスピーカーから獲得される日常の情報は、生活を保障する保険という存在を「一人ひとりの生活により密着したかゆいところに手が届く」保障にしていくために欠かせないものになるでしょう。
今後、そういった膨大な顧客データを持つAmazonやApple、Googleが、金融業界に参入する可能性は決して否定できません。

ビッグデータとして蓄積されたライフログが保険の概念とスピードを変える

ITを活用することで、今までの保険の概念が変わるのは必定といえます。
保険に求めるのは「正確で間違いのない処理」に対する信頼と、査定から支払いへのスピード感であり、InsurTechはこの2つをさらに加速していきます。
海外の事例では、飛行機の遅延保険に加入し、遅延した場合、降機する頃には中国のメッセージアプリ「ウィチャット」の電子マネー「ウィペイ」に払い込まれるという非常に素早い保険の支払い例があります。
保険窓口に問い合わせ、資料を送り、査定のあと支払いを待つという従来の手順に比べると、比較にならないほどの素早い対応と言えるでしょう。
また、InsurTechを活用して顧客ごとの細かなニーズに対応するためには、より多様な保険商品を用意する必要も出てきます。
商品開発から発売までの速度を加速するには、既存のシステムや概念からの大きなパラダイムシフトが必要な時期に差し掛かっているわけです。
IT企業が黒船たり得るのはデータの蓄積量だけでなく、「保険の開発システムとはこうであるべき」という固定概念の壁を別の角度からパスしていく、違う概念を持った業界であることも一つの力といえます。

マイクロサービスアーキテクチャがもたらすパラダイムシフト

当社ではマイクロサービスアーキテクチャという概念が、InsurTechを大きく推進すると考えています。
日本ではあまり馴染みのないように思われる概念ですが、実は身近なサービスですでに一般化している技術です。
この考え方は、様々な機能を持ったブロックを必要に応じて組み合わせ、サービスごとに一つのコンテナを形成し、並列させることで大きなシステムを構築していきます
コンテナごとは独立しているため、独自仕様の競合に神経質になる必要がありません。
そのため、新しいサービスコンテナを追加する場合の、既存のコンテナとの検証に掛かる工数は格段に下がり、実装までの時間を大幅に短縮できます。
また開発したシステムの変更に対し、柔軟かつ迅速に対応できるため「変化への対応力」は飛躍的に高くなります。
更にパッケージに比べると、サービスコンテナごとの変更が全体に与える影響は非常に小さいため、ユーザーから見ればメンテナンスでサービスが止まることなく、シームレスにバージョンアップの恩恵をうけることができます。
多様化し競合が増える中で、メンテナンスのためといえどサービス停止は顧客の流出を招く大きな原因です。
そういった観点から、マイクロサービスアーキテクチャはLINEやクックパッドなどのコミュニティサービスで導入されており、すでに身近なものとなっているのです。

マイクロサービスアーキテクチャを持つ損保開発システム構築プラットフォーム「eBao Tech GeneralSystem V4」


「eBao Tech GeneralSystem V4」はこのマイクロサービスアーキテクチャによって構築されており、InsurTechで必要とされる「ユーザーフレンドリー」であり「スピード感」のある開発が可能です。
システムの変更対応が容易なため、「まずはサービスを開始し、順次充実させていく」ことを前提に、開発へのアプローチ自体を変えることができます。
営業面に貢献する機能を先行してリリースしてから既存のバックオフィスと連携したり、シンプルに設計してからのちのち機能を盛り込むことができます。
変化に強く柔軟性の高いアプリケーション開発が可能で、サービスごとに変更できるため、InsurTechが求める多様で細やかな保険サービスの提供に対応したスピード感のあるシステム開発のハードルが大きく下がるのです。
万一障害が発生した場合でも、サービスごとに独立したコンテナを持つため、検証と修正対応もモノリシックなパッケージシステムと比較して容易になります。
さらに、それぞれが独立したコンテナの上で機能しているため、障害発生時にシステム全体に与える影響も小さくなります。
そしてサービス間は一般的なWEB通信で連携するため、システム自体を止めることなく運用しながらアプリを追加できるのです。
当社はeBaoがInsurTechの求める細やかでスピード感のある保険サービスの提供を、新しい概念とともに切り開いていくシステムであると確信しています。

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