旧車の点火装置修理記録
きっかけ
会社の代表が購入した約60年前のVOLVO(ボルボ)アマゾン123GT(1967~1968年製)を修理することになりました。
この車はラリー競技用に改造されており、操作パネルが戦闘機のコックピットのように複雑でした。「こんなの覚えられない…」という声が上がり、操作系を元の標準仕様に戻す作業を開始しました。
作業を進めていたところ、ディストリビューター(点火装置)を壊してしまいました。エンジンに点火するための電気が流れなくなってしまったのです。

故障の原因
原因は抵抗器の取り付け忘れでした。
車の点火システムには、電流を適切な量に調整するための抵抗器が必要です。この抵抗器を付け忘れたため、点火装置に大量の電流が流れすぎて故障してしまいました。
エンジンルームを見ても抵抗器らしきものが見当たらなかったため「抵抗器が不要なシステムなのだろう」と思い込んでいましたが、実際には別の取り外した部品の中に抵抗器が組み込まれていたようです。
故障箇所の確認
点火装置を分解したところ、内部の**シャント抵抗(電流測定用の抵抗器)**が焼け焦げていました。
見た目は形が残っていましたが、完全に焼き切れて機能していない状態でした。この抵抗器を取り除いて動作テストをしたところ、他の部分は正常に動くことが確認できました。
そこで、この焼けた抵抗器だけを新品に交換することにしました。

抵抗器の値を推測
交換するにあたり、どれくらいの抵抗値が必要かを調べましたが、情報が見つかりませんでした。
- 現物は焦げて色が読めない
- メーカーのサイトにも情報がない
- メーカーに問い合わせようとしたら「購入店に聞いて」と言われたが、中古なのでどこで買ったか不明
仕方ないので、部品のサイズと回路の条件から計算で推測することにしました。
抵抗器のサイズを測定したところ、0.25Wまでの電力に耐えられるタイプとわかりました。車の電圧(12V)や他の部品の抵抗値から逆算すると、必要な抵抗値は0.3Ωと推測されました。
自動車部品は高温などの厳しい環境で使われるため、余裕を持たせた設計が必要です。そこで安全率を考慮した0.3Ωを採用しました。

修理作業
焼損時の熱で基板のパターン(配線)も一部損傷していたため、より大きな抵抗器を少ない本数で取り付ける設計に変更しました。


元々は6本の小さな抵抗器でしたが、2本の大きな抵抗器に変更し、合計で0.75W以上の電力に耐えられるようにしました。
交換後、正常に動作することを確認できました。
動作確認と考察
実際に車に取り付けてエンジンを始動したところ、問題なく点火してエンジンが動きました。
今回修理したシャント抵抗は、点火装置に流れる電流量を測定するためのものです。ただし、この測定値が安全装置として使われている様子がないため、単に点検や検査時に状態を確認するためだけの部品かもしれません。
もしそうであれば、極端な話、なくてもエンジンの動作自体には影響しません。
念のため、これから長時間運転して様子を見ていく予定です。

