マンションでの騒音問題に対する開発

マンションの管理で問題になりがちな住人間の騒音問題
マンション等の騒音問題では、当事者双方の言い分が食い違ったり、原因である方に訴えても取り合ってもらえなかったり、そもそもどこから出ている音なのかわからない、というパターンもあり解決までのロードマップ策定が最初から頓挫しがちという問題がありました。
この問題の解決をスムーズに進めるには、騒音に関する証拠が必要になります。
今回の取り組みは証拠を効率的に収集するためのシステム作成になります。
必要な証拠とは?
騒音問題解決に必要な証拠は、騒音そのものと、その発生位置の推定です。
A)問題となっている音が、本当に問題として取り上げるに値するものか
B)問題の音を発しているのは誰(または何)なのか
◯Aに関して
Aに関して下記2点を記録する必要があります。
1)音の大きさはどのくらいか
2)どんな音か
音の大きさはdB(デシベル)にて数値的に、また客観的に判断できます。
仮に深夜に70dB(近くで掃除機を動かす程度)の音がしていれば明らかに騒音です。
どんな音かに関しては、例え40dB(雑音程度)であっても、壁を叩いている音が頻繁にあれば何かしら意図(怒りの発散・嫌がらせ)を感じ取り、その異常さから住人は不安を訴えます。

◯Bに関して
Bに関しては、音の発生源を特定する必要があります。
「101号室の住人を疑っていたら、音を出していたのは102号室の住人でした」というのは避けたい事象の一つです。
音の発生源の特定には、複数の音センサーで音の大きさや音の到達時間を比較し、音の発生方向を推定する必要があります。
センサーの設置方法としては下記が考えられます。
1)一箇所に集めて場所を推定する
2)各部屋前に散らして設置し、場所を推定する
1はアコースティックカメラ(音源が可視化できるカメラ)で用いられている構成です。(amazonより https://www.amazon.co.jp/-/zh/dp/B0FBWKXZQZ)
1・2共に発生源を推定できますが、1は遠い箇所からの音のサンプリングに問題が出るため、マンション用では2が適切です。
1 2

音の録音について
「問題となっている音」が録音できていれば証拠として利用できそうですが、
常時録音しておき、問題発生時に「問題となっている音」だけを取り出そうとすると下記3点の問題が生じます。
1)仮にマイクを10台設置して1週間録音すると、単なる音声データに対して200GB近い保存領域が必要になる。(256 kbps CDに近い音質で保存した場合)
2)録音したデータを見返す際、膨大な量の音データの中から問題の音を探し出さなくてはならない。
3)マイクに入る住人の会話がすべて録音されているとプライバシーの問題に発展しかねない。
これらの問題を解決するには、「問題となる音が発生した時のみ音データを残す」というシステムが最適です。
録音のための装置を用意してみました
下記の理由から録音装置にはRaspberry Pi Zero Wを選定しました。
・マンション内に設置する録音装置の数が多いこと(小型・安価)
・装置内である程度リアルタイムの処理が出来ること(そこそこ高性能)
・サバーへ録音データを送信できること(WiFiを利用した通信が可能)

この装置で試しに録音と、録音したデータにフーリエ変換を行ってみました。
今回サンプリングした音では、200Hz以下の波形に明確な違いが見られるので、波形を処理することで「壁を叩いた音」のみを拾うことができそうな印象です。
・壁を叩いた音+雑音

・会話+雑音

最後に
今回は概要と簡単な実験のみでしたが、最終的に汎用的なシステムとして運用できるよう今後機能を実装していきます。
ひとまず具体的なところでは
・壁を叩いた音を多数の建物でサンプリングし、確度の高い判別方法を模索する
・単に音の大小を判別する機能の実装
を進めていく予定です。
進展がありましたら改めてご報告させて頂きます。
